錬金術師の生み出すドライジン
スピリッツを生み出す蒸留技術、その技術を発明したのは錬金術師である。良い錬金術師は、昼夜を問わず、物質について考え続ける。現人類の存続に不可欠な太陽と月、人類の歴史上の卓越した2つの貴金属である金と銀についても同様だ。
「AG 107.86 ドライジン」はそんな錬金術師の一人であり、調香師であるバルド・バルディニーニの日々の熟考の中から生まれた。
月の冷たさと新鮮さを銀(AG)にたとえ、透明感に満ち溢れた香り高い水として生み出されたのがこのドライジンだ。そのコンセプトを体現する香りは、彼の貴重な香りの記憶がベースとなっている。それは祖父のハンカチの香りである。
幼いバルド・バルディニーニは多くの時間を祖父の理髪店で過ごした。彼にとって、この香りは最初の香りの記憶なのだそうだ。そこには遊び相手になる子供はひとりもおらず、彼に多くを教えたのは理髪店の客と祖父、そして祖父の家にあった数えきれないほどの本だった。彼はそこを「まるで図書館のようだった」と表現している。
のちに調香師となる少年は、この理髪店と祖父の家で、香水が何であるかを知った。